いろ色話 空五倍子(うつぶし)色
空五倍子色は 簡単に言えば薄墨色
詳しく言えば 灰みの暗い黄赤で 平安時代より喪服に使われた
ウルシ科の ヌルデ(白膠木)という木の枝に
ヌルデノミミフシアブラムシが 寄生すると
ヌルデの細胞は 異常な形に増殖し
五倍子(ふし)と呼ぶ 虫コブを作る
中が空洞なため「空」がついて 空五倍子(うつぶし)と呼ばれる
このコブの中で繁殖したアブラムシは その数一万匹にも達するが
タンニンが 昆虫の消化酵素の働きを阻害するため
植物は 虫コブに多くのタンニンを蓄積する
大量のタンニンが含まれることから 薬用として用いられ
この虫コブを乾燥したものを 五倍子(ゴバイシ)と呼び
収斂 止血 抗菌 抗ウィルス 抗真菌などの作用があり
胃腸粘膜の保護 止血 脱肛などに用いられる
また五倍子は 染料として使われるほか
媒染剤や 皮のなめし剤としても利用され
鉄片を酢に浸した「鉄漿(かね)」を 媒染にして五倍子を
歯に塗りつけると 昔の既婚女性の風習『お歯黒』となる
ヌルデは ウルシ科の落葉高木で
かって幹を傷つけて 白い汁を採り
塗料として使っていたことに 名前の由来がある
東南アジアから 東アジア各地に自生し
日本では 北海道から九州までの 丘陵地帯から山林地帯の縁に
広く分布している 8〜9月に花が咲くが
タラの花に 良く似た白い花を咲かせ
10〜11月になると 果実が黄褐色に熟する
また同じウルシ科の ヤマウルシやヤマハゼと同じように
紅葉して 暖地の秋を彩る
同じウルシカでも かぶれることはほとんど無く
木材は 色が白く材質が柔らかいことから
木彫りの材料 木札 木箱に利用される
種子は 土中で20年以上も寿命があり
伐採などで 環境条件が良くなると
真っ先に芽を出し 勢力を広げる
2006/10/31 J/N
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